隊員&OB・OGインタビュー

今を未来につないでいく、ジオパークの意義を多くの人に伝えたい。

嬬恋村 本多力斗さん OB(2019年4月~2022年3月)

Q:嬬恋村の地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。

A:太田市出身で、大学では考古学を専攻していました。日本の考古を学んでいた1、2年生の時、嬬恋村の鎌原観音堂を訪れる機会があって、面白いところだなと印象に残っていました。ここは日本の火山遺跡としては大変珍しく、出土した木製品が腐ることも焦げることもなく、そのまま残っているレアな遺跡なんです。噴火の勢いで山が崩れて、熱を持たない土石で一瞬にして覆われた場所です。

卒業後、就職先は内定していたのですが、「浅間山ジオパーク」での活動というミッションを知り、考古学の知識を生かしながら活動してみたいと思ったのが、応募のきっかけです。


Q:隊員だったときの活動内容を教えてください。

A:任期中は、ずっと「浅間山ジオパーク推進協議会」での活動に没頭していました。 ジオパークの意義は、今をどう未来につないでいくかということ。地球の歴史を知り、保全して、その価値を多くの方に伝えて後世に残すことです。 そのために、調査・研究したことを論文にまとめて発表したり、毎年開催されるジオパークの全国大会や関東大会などの際にポスター発表したりしました。 また、ジオパークを訪れた方を案内する「浅間山ジオガイドの会」というボランティア団体のマネジメントも担当していました。現在、109名のガイドが所属していますが、着任した頃は顔とお名前が一致せず、コミュニケーションを取るのが大変でしたね。年間スケジュールを立て、ガイドさん向けの研修会をかなりの回数開催したりもしました。 ホームページやチラシの作成も任され、スキルはなかったのですが、独学で何とかこなしました。 自分がここで役に立つことを証明しないと、終了後に残れないと思ったので、とにかくできることは全力で頑張りましたね。


Q:隊員時代に経験した、大変だったことやうれしかったことを教えてください。

A:「浅間山ジオガイドの会」のお仕事で、手配したガイドさんとお客様の要望が合わず、双方からクレームが来ることがあったんです。 なんとかその状態を改善しようと、まずはガイド一人一人とお話をして興味があることや得意なことを聞き取り、ガイドさんのプロフィールをまとめてデータ化しました。 その後は、集めたデータをもとに、お客様が興味のある分野に詳しいガイドさんを手配することでミスマッチを防げるようになりました。これはほんとうに大変な作業でしたね。 うれしかったことは、やればやるだけ周りの人たちが認めてくれたこと。食事に誘っていただいたり、嬬恋のおいしい野菜を食べきれないほどいただいたり。着任して2、3カ月たった頃には、目に見えて受け入れられていることがわかってうれしかったです。


Q:現在の業務内容を教えてください。

A:ジオパークの専門員になるには地球科学の分野を専攻する必要があるので、任期終了後はもう一度大学で学んで専門員を目指そうと思っていたんです。 ところが、担当課長からジオパークの関東大会がここで開かれるので、残って協力してほしいと依頼され、役場の会計年度職員として残ることになりました。 今は、広報観光委員会に所属して、イベントのチラシの作成やSNSでの発信、ホームページの更新などを担当しています。 来年以降は、関東地域で開催されるジオパーク全国大会への協力や、再来年に行われる4年に一回のジオパーク再認定審査に向けての業務もかなり増えてくると思います。


Q:嬬恋村での暮らしはいかがですか?

A:着任直後の住まいは古いところでしたが、7月には新居に引っ越すことができて、今もそこに住んでいます。歩いて通勤できるところなので楽ですね。 もっと田舎で不便なところを想像していたのですが、住んでみると思っていたほど暮らしに困ることはありませんでした。スーパーは7時に閉店するので、今は宅配を利用しています。地域の方から、一人では食べきれないほどの野菜や魚をいただくことも多く、ご近所さんにおすそ分けしています。 寒さはそれほど苦手ではないのですが、昨年の冬は今まで経験したことがないような豪雪で、それにはちょっと驚きました。


Q:今後、やっていきたいことや目標はありますか?

A:毎年5月に行われるJpGU(日本地球惑星科学連合)という学術団体のカンファレンスには、国内のジオパーク関係者がたくさん集まるので、他地域の人たちと交流して情報交換しながら、今後の活動の参考にさせてもらっています。いいところだけ参考にして自分なりに変えていけば、ゼロから考えるよりいいものになると思うので。 とにかく新しいものが大好きで、新しいものを自分で生み出したいという気持ちがあります。今は、「バーチャル・ジオツアー」といった現地に行かなくてもツアーを楽しめるようなものを考案中です。独学なので悪戦苦闘していますが、4年後ぐらいを目標に完成できればと思っています。

(取材日:2022/10/6)