玉村町の野菜とコーヒーで、町民が交流できる場を。

Q:地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。

A:きっかけは、玉村町出身の知り合いから「重田家住宅」のことを教えてもらったことでした。重田家住宅でイベントが開催されていると聞き、実際に訪れてみて、とても素敵な場所だと感じました。ちょうどその頃、「重田家住宅を活用する協力隊を募集している」という話を聞き、自分にぴったりだと思い、応募しました。
私は群馬県中之条町出身で、高校卒業後に上京し、栄養士の専門学校を卒業しました。その後、都内の学校給食委託会社やイタリアンレストラン、野菜の卸会社、カフェなど、さまざまな食に関わる仕事を経験しました。もともと古民家が好きで、いつかカフェをやりたいという思いがありました。重田家住宅は、古い民家の佇まいを残しながら、一階部分は暮らしの延長としてリノベーションされており、重厚感がありつつも柔らかい雰囲気があります。「ここでカフェができたら素敵だな」と、初めて訪れた時から感じていました。もともと群馬で暮らすイメージがあったため、協力隊として移住することに大きな迷いはありませんでした。協力隊としてカフェをオープンすることで、より地域に根差し、玉村町の皆さんに愛されるカフェになるのではないかと考えたことも、協力隊を志した理由の一つです。
Q:活動内容について教えてください。
A:2023年4月に着任し、その年の8月から産休・育休を10か月間いただきました。協力隊の面接後に妊娠が分かり、担当の方に相談をしたところ、快く受け入れていただき、産休・育休を取らせてもらえたことは本当に感謝しています。
産休前は、地域の方との人脈づくりを中心に活動しました。その一つが「重田家マルシェ」で、町内外の方に重田家住宅を知ってもらうためのイベントです。私自身が「食」をテーマにしていることから、町内外の農家さんや飲食店さんに声をかけ、協力隊だからこそできるマルシェを目指しました。
産休明けは、重田家マルシェを継続しながら、重田家住宅でフリーコーヒーを実施し、地域の方と気軽に話せる場をつくりました。毎週金曜日に無料でコーヒーを配りながら、地域の方が重田家住宅をどう思っているのか、どんな場所であってほしいのかを伺い、コミュニケーションを重ねていきました。
2年目はカフェづくりに力を入れました。重田家住宅の隣にある建物をDIYで整え、壁塗りワークショップを開催するなど、みんなでつくるカフェを意識して準備を進めました。さまざまな方々の後押しもあり、2025年7月に「cafe unelma」(カフェ ウネルマ)をオープンすることができました。
Q:「cafe unelma」(カフェ ウネルマ)は、どんなカフェですか?
A:カフェの名前「ウネルマ」は、フィンランド語で「夢・希望」という意味です。私自身の夢であったカフェを営む事と、下の名前「のぞみ(希望)」を重ねて名付けました。コンセプトは「野菜を好きになるカフェ」です。玉村町や近隣で採れた野菜、重田家住宅の敷地内にある畑で育てた野菜、柿や梅、栗など、地域の恵みを使った軽食やスイーツを提供しています。重田家住宅を拠点に4つの部活動が行われており、その一つである園芸部では、地域の方と一緒に敷地内の畑を耕したり、子どもたちを交えて収穫体験を行ったりしています。玉村町のおいしい野菜を地産地消で味わってほしい、珍しい野菜や新しい食べ方を発見して楽しんでほしいという思いを込め、子どもや野菜が苦手な方でも楽しめるメニューづくりを心がけています。
カフェは重田家住宅の中で雰囲気を味わいながら飲食してもらえるようにしています。近所の方が散歩のついでに立ち寄ってくださったり、「話に来たよ」と声をかけていただけることが、日々の励みになっています。
Q:玉村町での暮らしはどうですか。
A:協力隊になったことをきっかけに、夫婦で玉村町へ移住し、子どもが生まれて3人家族になりました。玉村町は生活の利便性が高く、子育て支援も手厚いと感じています。公園が多く、健診や保健師さんとのつながりも密で、安心して子育てができています。なにより、地域の方々が子どもを可愛がり、気にかけてくださることが、とてもありがたいです。都内ではなかなか経験できなかったことだと思うので、移住して良かったと感じています。
Q:これからの目標を教えてください。

A:重田家マルシェとカフェの継続に加え、玉村産麦を使った特産品として、ノンカフェインの「麦コーヒー(オルツォコーヒー)」の商品化に力を入れています。妊娠中に、妊婦でも安心して飲めるコーヒーを探す中で、麦を使ったオルツォコーヒーを知りました。妊婦さんや子ども、眠れない方など幅広い人が楽しめる点に魅力を感じています。玉村町は麦と米の二毛作が盛んで、麦産業が地域の特徴の一つでもあります。玉村産麦を使用した麦コーヒーを商品化することで、玉村ならではの特産品になると考え、現在試作を進めています。
Q:これから隊員を目指そうと思っている人に向けて、アドバイスをお願いします。
A:協力隊の3年間は、長いようであっという間に過ぎていきます。その中で、自分のできることや強みを最大限に活かせる3年間にできるかどうかが鍵だと思います。私は、地域の方々の話をたくさん聞きたいという思いから、マルシェやフリーコーヒーを実施し、オープンな場をつくるところから取り組みました。また、自分から地域に出向いていくことも大切だと感じています。積極的に自分からアピールをし、地域の方々との関係性を築いていく意識を持つことで、とても充実した、楽しい3年間になると思います。
(取材日:2025/12/9)