隊員&OB・OGインタビュー

スポーツを通して、みなかみ町をもっと元気にしたい。

みなかみ町 坂東秀梧さん 活動2年目(2024年4月~)

Q:地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。

A:群馬県安中市の出身で、大学進学をきっかけに東京へ出ました。大学では教育学部に所属し、当初は教員を目指していました。そんな中、教育実習で地元に帰った際、3人制プロバスケットボールチーム「MINAKAMI TOWN.EXE」の練習に参加する機会があり、そこで「チームに入らないか」と声をかけていただいたことが、大きな転機となりました。
バスケットボールは小学校2年生から始め、ミニバス、中学、高校、大学とずっと続けてきました。大学で一区切りにしようと思っていたのですが、再びプレーするチャンスがあるなら、挑戦してみたいという気持ちが強くなりました。
教員という仕事は何歳からでも挑戦できますが、スポーツは若いうちが勝負だと思っていました。だからこそ、今このタイミングでチャレンジすることを優先しました。さらに、「MINAKAMI TOWN.EXE」は、スポーツを通して地域を元気にするというテーマを掲げていると聞き、もし自分がチームの一員としてみなかみ町を盛り上げる未来を描けるなら、挑戦する価値があると感じ、地域おこし協力隊としてチームに加わることを決めました。

 

Q:活動内容について教えてください。

A:「MINAKAMI TOWN.EXE」の選手としてだけでなく、NPO法人水上自然遊楽に所属し、総合型地域スポーツクラブ(MINAKAMI TOWNスポーツクラブ)の運営にも携わっています。このスポーツクラブでは、子どもたちを対象に、バスケットボール、チア、空手道、体操、フィジカルトレーニングのプログラムを提供しています。特徴的なのは、全カテゴリーでプロフェッショナルが指導していることです。僕はバスケスクールを担当しており、幼稚園生から中学生まで、町内のスクールに通う子どもたちにバスケットボールを教えています。また、毎週月曜日には新島学園での指導も担当しています。
僕たちのチームは「みなかみから世界へ」という大きな目標を掲げ、世界大会につながる試合にはすべてエントリーしています。メインの大会は「3x3 EXE PREMIER」で、5月から9月にかけて行われます。それ以外にも「3x3 UNITED」や「Red Bull Half Court」など、世界大会につながる試合があり、オールシーズンで試合を行っています。「3x3 EXE PREMIER」は国内36チームで順位を競うリーグ戦で、今年は国内4位、最終プレーオフを含めると99チーム中7位で、世界でも十分通用する手応えを感じています。

 

 

 

Q:活動の中でどんなところにやりがいを感じますか?

A:地域おこし協力隊になって一番うれしかったことは、やはりチームのテーマでもある「スポーツを通して地域を元気にする」という思いを、実際に体感できたことです。
みなかみ町には「月夜野総合体育館」という会場があり、そこをホームゲームの開催場所としています。試合には町の子どもたちや地域の方々がたくさん応援に来てくださり、試合中も大きな声援を送ってくれます。試合後には「かっこよかったよ」「上手だったね」「すごかったよ」といった温かい言葉をかけてもらえる。その瞬間に、この町で地域おこし協力隊として活動できて本当によかったと心から感じます。
今年は7月と9月に2回ホームゲームを開催し、7月は約800人、9月は約900人もの方々が来場してくださいました。お子さんやご家族、ファンやブースターの皆さんが一体となって応援してくれるあの空気の中でプレーできたことは、選手としても、地域の一員としても大きな喜びでした。
3人制バスケットボールという競技は、まだ一般的には馴染みが薄いスポーツだと思います。しかし、東京オリンピックで正式競技となってから注目度が高まり、少しずつ知ってもらえる機会が増えてきています。実際、昨年と比べても応援してくださる方々の数が確実に増えており、それも大きな励みになっています。プロ選手としてプレーしながら、地域の方々と一緒に町を盛り上げていけるこの環境にいられることが、本当にうれしいですね。

 

 

Q:これからの目標を教えてください。

A:みなかみ町に移住して、人にも環境にも恵まれていると感じています。協力隊の任期が終わっても、この町に残り、選手を続けながら運営にも携わっていきたいと考えています。これからの目標は、みなかみ町の一つのピースとなり、この町で必要とされる人材になることです。現在メインで取り組んでいるスクール事業では試行錯誤しながら運営していますが、子どもたちがさらに楽しめる企画を打ち出し、「MINAKAMI TOWNアカデミー」という総合型地域スポーツクラブをより大きく発展させていきたいと思っています。
チームとしての目標は日本一です。個人としては、他のチームから恐れられる選手となり、いずれは日本代表に絡む選手を目指して頑張っています。将来的には、みなかみ町から日本代表選手が輩出されたという報告ができれば、スポーツを通して町をさらに元気にできるのではないかと思っています。

 

 

Q:これから隊員を目指そうと思っている人に向けて、アドバイスをお願いします。

A:協力隊として移住する前は、とても不安を感じていました。しかし、実際に関わってみることで、多くの人と出会い、話をし、まちのお店を訪れる中で、その温かさや良さを実感することができました。だからこそ、「踏み出したいけど踏み出せない」と思っている人にも、ぜひ一歩を踏み出してほしいです。きっと、チャレンジして損はないと感じられるはずです。
僕にとって、協力隊の3年間は「ここに居続けるための準備期間」です。みなかみ町に移住して、将来的にこの町で必要とされる人材になるために、今はさまざまなことを考え、学び、挑戦する時間だと考えています。だから、3年間で何かを成し遂げて終わり、というよりも、もっと長いスパンでこの町に貢献できるようになりたいと思っています。

 

(取材日:2025/10/15)