隊員&OB・OGインタビュー

中之条町で見つけた新しい暮らし、地域と共に育む未来。

中之条町 谷藤麻衣子さん 活動4年目(2021年4月~)

Q:地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。

A:前職は旅行会社で、国内外のツアーを企画・手配し、添乗員として同行する仕事をしていました。様々な地域を訪れるうちに「いつか田舎に移住したい」という思いが芽生え始めました。旅行会社に8年ほど勤めた後、ワーキングホリデー制度を活用してカナダへ渡航しましたが、半年も経たないうちにコロナが流行し、帰国せざるを得ませんでした。次の身の振り方に悩んでいた矢先、中之条町にUターンしていた以前の職場の先輩から、「中之条町に来てみたらどうか」と誘われました。在職時から中之条町には遊びに出かけていたので、地域おこし協力隊の募集情報を聞き、「いつか田舎に移住したい」という思いを実現するちょうどよいタイミングだと感じ、応募しました。

 

Q:活動内容について教えてください。

A:私が中之条町に来たのは、中之条ガーデンズが5年がかりの改修と準備を経て、グランドオープンを控えていた時期でした。約12ヘクタールの広大な敷地には500種類の植物が季節ごとに楽しめるガーデンが完成していましたが、園内にあるショップやイベント企画などの準備が完了していない状態でした。
グランドオープンの年、1年目は、ショップの充実に力を入れました。以前の施設で取り扱っていた商品も多かったのですが、中之条ガーデンズのテイストに合わないものは刷新し、新たな商品の仕入れ先を探したり、オリジナルのプロダクトづくりにも着手しました。マスキングテープや手ぬぐい、クリアファイルなど、企画したオリジナル商品がショップに並んでいます。2年目以降は、ショップの充実と並行してイベントの企画運営に尽力しました。りんご畑の収穫祭や春・夏・秋のガーデンフェアのほか、2024年夏にはファミリーフェア、冬にはクリスマスガーデンマルシェなど、新しいイベントも開催しました。
同時に力を入れたのが、インスタグラムでの情報発信です。イベントの企画もインスタグラムも、「中之条ガーデンズらしさ」を大切にすることを心掛けました。中之条ガーデンズは、庭が主役の回遊式庭園です。植物は季節ごとに変化をしていきますから、冬になれば、当然、草花は枯れてしまうのですが、枯れたものもそのまま残し、植物のレイヤーを楽しんでいただけるよう設計されています。花を見に来てもらうだけでなく、庭で過ごす体験を楽しんでもらうというコンセプトがあり、その世界観に寄り添うようなイベント企画や情報発信を行っています。それまでバラバラだった投稿も、トンマナ(トーン&マナー)を決め、中之条ガーデンズの世界観に合わせました。グランドオープンから関わらせていただいているので、ゼロイチに挑戦できることが大きなやりがいにつながっています。アイディアを具現化していくことがしやすい環境だと感じています。

 

 

 

Q:中之条町での暮らしはどうですか?

A:私は横浜市出身で、前職は新宿にオフィスがありました。そのため、朝7時半に家を出て、深夜に帰宅するというハードな生活をしていました。中之条町に来てよかったと思うのは、日々の仕事に追われ、「なんのために働いているのか」と、よくわからなくなっていた都会的な生活から解放されたことです。最初は、中之条町は時間の流れがゆっくりしている、と戸惑いましたが、すぐにそのペースに慣れ、のんびりとした時間の流れが心地よく感じるようになりました。人との距離が近く、温かさが感じられますし、空気がおいしく、星がきれいで、自然環境が豊かなことが実感できています。お店が近くにないことも気になりません。元の生活には戻れないと思っています。

 

Q:今後は、どのように活動していく予定ですか?

A:任期終了後も、中之条ガーデンズショップの企画運営などに携わっていければと希望しています。また、任期終了後の収入の柱をつくる必要があると考え、2024年1月頃からSNSマーケティングの勉強を始めました。SNSマーケティングに興味を持ったのは、中之条ガーデンズのインスタフォロワー数が増えたことがきっかけです。以前はフォロワー数が約2500人だったのが、現在では12500人に達しました。伸びた要因を言語化し、さらなる成長につなげたいと思い、スキルを身に付けました。今、副業としてマーケターの仕事も始めています。
中之条町に移住して約4年、これまで町にお世話になってきましたので、微力ながらまちづくりに役立つことをしたいという目標があります。町には「花ゆかり」というブランド米があるのですが、このお米を使って、ポン菓子の現代風なお土産商品を作りたいと考えています。

 

Q:これから隊員を目指そうと思っている人へアドバイスをお願いします。

A:どんな場所でも、楽しむことが大切だと思います。今まで自分が持っていた価値観が覆されることもあるかもしれませんが、そうした違いをも楽しみ、昇華することができれば、地域の人々とも仲良くなれると思いますし、そういった経験が、自分の成長につながっていくと思います。

 

中之条ガーデンズInstagram
https://www.instagram.com/nakanojo_gardens/

(取材日:2024/11/25)