SNS発信を通して伊勢崎市のまちなかファンを増やしたい。
Q:伊勢崎市の地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。
A:地域おこし協力隊に着任する前は、山梨県の温泉旅館や長野県のスキー場のホテルで接客業をしていました。当時も楽しく働けていたのですが、これからずっと接客業をやっていくのかと考えていたときに、ライターとバリスタとして活動する秋田県藤里町の地域おこし協力隊の募集を見つけました。藤里町は人口3000人以下の小さな町だったので、人との距離も近く、それゆえの楽しさもありましたが、次第に群馬県に帰りたいという気持ちが強くなっていきました。総務省のサポートデスクに相談した際、地域おこし協力隊として2年間活動すると応募要件が外れ、他の地域の協力隊として活動できるということ、また、群馬県の協力隊は横のつながりが強く、職員の方たちも協力的だという話を聞きました。秋田県にいた頃は、人の少ない地域を盛り上げる活動をしていたのですが、今度は人がいる地域を盛り上げる活動をしたいと思い、群馬県内の協力隊の募集の中から、個人事業主型の地域おこし協力隊を募集している伊勢崎市が候補に挙がりました。伊勢崎市は初めての地域おこし協力隊の募集だったので、前例がない分自分のやりたいことをできると思いました。実際に市の職員の方とお話をした際も、「人生を変えて来てくださるからその覚悟には答えます」と言ってくださり、それだけ言ってくれる自治体だったら楽しく過ごせそうと感じ、着任を決めました。
Q:現在の活動内容を教えてください。
A:現在は、伊勢崎市のまちなかのイベントへの参加、SNSの運用、ラジオ番組への出演などを通して、まちなかの情報発信に努めています。秋田県の地域おこし協力隊時代に、フリーペーパーを発行していたので、その時の経験を活かして、市のイベントチラシのデザインも担当しています。抱えている案件やイベントごとがかなり多いので、その日によってスケジュールは異なります。イベントやラジオの打ち合わせで市役所にいる日もあれば、動画の編集などの作業を家でしている日もあります。ラジオのコーナーも街の人へのインタビューから編集まで教えていただきながら一から自分で作り上げています。
Q:活動の中でどんなことにやりがいを感じますか?
A:SNSに掲載したチラシを喜んでくださる方や、ラジオに出演して楽しかったと言ってくださる方に出会うとやりがいを感じますね。あとは、秋田県でフリーペーパーを発行していたときは、一人ですべての作業を担当していたので、作る側の悩みや苦労の深い部分までを理解してくれる人がいませんでしたが、伊勢崎市にはフリーペーパーを発行している団体やデザイナーさんがいるので、気持ちを共有できるのはうれしいです。地域の人たちと関わる中で、気持ちを理解してもらえていると実感する場面も多いので、「伊勢崎に来てくれてありがとう」という言葉をかけてもらえるのがとてもうれしく、来てよかったと思います。
Q:様々なところで暮らしてきたからこそ感じる伊勢崎の良さは何ですか?
A:今まで暮らしてきた場所も都会ではないので、都会との比較は難しいですが、人との距離感がちょうど良いと感じます。皆さん優しい人ばかりなのですが、町が小さいほど人との距離が近く、小さな社会で回っているという印象を受けました。伊勢崎市は、田舎ではあるけれど外国人が多く、高速や鉄道が通っていてアクセスも良いことから、人の出入りが激しい地域なので、地域の人も外から来た人に抵抗がなく、風通しの良さを感じます。だからと言って、地域の人と距離を感じることもないです。地域の人は協力隊に興味を持ってくださる方も多く、1年しない間にいろいろなご縁をいただいて人脈も広がりました。すれ違ったときにあいさつが生まれるので、その距離感をちょうど良く感じています。
Q:今後の目標を教えてください。
A:まだ漠然としていますが、伊勢崎市のまちなかの魅力を、SNSを通して発信し続けたいと思っています。伊勢崎市は、華蔵寺公園やスマークなどの郊外に人が集まる仕組みができてしまっていて、まちなかにはあまり人が集まらないというのが現状です。若い人となるとなおさらですし、伊勢崎市の人でもまちなかに来たことがないという人もいます。でも、まちなかには、伊勢崎銘仙の特色や魅力が詰まった明治館や古い食堂など伊勢崎の歴史が眠っています。まちなかにいる人は、伊勢崎愛が強い人もたくさんいて、そういう人と関われるというのも魅力だと思うので、自分を構成するツールの一つになっているSNSでまちなかのファンを増やしたいです。最近は、映像制作の勉強も始めているので、YouTubeやTikTokを通しても、銘仙など伊勢崎市のまちなかの魅力を発信していきたいです。あとは、秋田県での活動経験から、自分が発信したい内容だけをまとめたフリーペーパーも発行したいと思っています。
Q:これから地域おこし協力隊を目指す人にメッセージをお願いします。
A:進路に困っている友達に「協力隊いいよ」 と投げかけるくらい、私は地域おこし協力隊という制度を良いものだと思っていて、自分のやりたいことや将来のビジョンがある人にはぴったりの制度だと感じます。自分自身、正社員などしっかりとした職業に就くというよりは、自分のやりたいことや、何か楽しいことができたらいいなと思っているタイプなので、そういうことを考えている人には、すごく良い制度なのではないかと思います。
(取材日:2023/12/11)