隊員&OB・OGインタビュー

地域の人に寄り添い、よそ者視点を持ち続け
地域を元気に盛り上げていく。

伊勢崎市 皆瀨勇太さん 活動1年目(2023年4月~)

Q:地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。

A:人生目標に「地域を盛り上げ、牽引できる人材になる。」を掲げています。出身は群馬県安中市ですが、大学・就職と石川県や栃木県、札幌市など県外で暮らしていました。30歳の節目に、自分の故郷・群馬県を盛り上げたいとUターンを決意。伊勢崎市まちなか地域おこし協力隊に応募したのは、自分の人生目標を具現化できると思ったからです。活動時間が少なめに設定されていて、自らの取り組みに十分な時間を費やすことができ、副業も可能だったことも魅力的でした。伊勢崎市を訪れ市の担当者と話をした際、初めての募集となった地域おこし協力隊へ真剣に取り組んでいる市の姿勢を感じ、安心して伊勢崎市にやって来ました。

 

Q:人生目標の「地域を盛り上げ、牽引できる人材になる。」という思いを聞かせてください。

A:子どもの頃から人に興味がありました。大きくなるにつれ、人への興味から人が形作る社会に興味を持ち、そこから町づくりに変わっていきました。「地域を盛り上げ、牽引できる人材になる。」と思ったのは、大学時代の成功体験が大きかったと思います。大学を休学して、1年間オーストラリアへワーキングホリデーに行きました。たまたま現地で見つけたご当地トランプを集めるようになって、帰国後、大学で仲間を集め協賛企業を募り、石川トランプを作成、道の駅などで販売しました。地域にはそれぞれ魅力があり、住んでいる人には誇りがある。それをトランプという形にしたことで、自分自身も成長できたし達成感もあり、加えて、地域の人にも喜んでもらえました。この時、自分は地域を盛り上げる仕事をして生きていこうと決めたのです。
大学院卒業後は、ホテルや旅館などの再建に実績のある企業に就職。商品開発などに注力しました。一方で、働きながらコツコツと資格取得を進めていました。国内旅行管理者の資格や3年かけて中小企業診断士の勉強を続け、1次試験に合格したタイミングで退職し、中小企業診断士養成課程を受けるため、札幌市へ。半年間実務を学び、中小企業診断士の資格も取得しました。ほかにも、狩猟免許も持っています。これらは、人生目標を達成するために必要だと思った資格です。
石川トランプの活動をしていた頃、地域の人に喜ばれるたびに、故郷・群馬県のことが脳裏に浮かんでいました。もし、自分の故郷である群馬県を盛り上げることができたら、どんなにうれしいだろうと思うようになっていました。さまざまな修業を経て、ようやく群馬県に戻ってきた今、実践の時を迎えたという思いで頑張っています。

 

Q:活動内容について教えてください。

A:伊勢崎市のまちなかに賑わいを取り戻す活動をしています。月に一度、伊勢崎駅前の公共空間を利用して行われている「いせさき楽市」では、「駅マエ謎解きウォーク」を開催したり、駅前のモニターを活用したeスポーツイベントの企画・運営に携わったりしています。現在は、まちなかを盛り上げるイベント「伊勢崎神社縁日」を企画しています。昔から人が集まるコミュニティの中心だった神社を舞台に、日中は昔懐かしい遊びや上毛かるた大会、夜はプロジェクターを使ってeスポーツ大会をやろうと考えています。
イベントなどでは、着物を羽織り、ウエスタンハットをかぶっています。「変な人がいる」と意識を向けてもらえたら、それだけでいいと思っています。「変な人がまちなかを歩いている」と話が膨らめば、もっといい。変な恰好をした私に声をかけてくれる人が現れたら、伊勢崎市のまちなかに意識を向かせるチャンスになりますから大成功です。

 

 

 

Q:今後は、どのように活動していく予定ですか?

A:伊勢崎市まちなか地域おこし協力隊は、「まちなかイノベーター」と呼ばれています。地域を知り、地域課題の解決につながる経済活動に取り組み、自らも移住・起業を前提とした活動に取り組むことがミッションです。
私がやりたいと思っていることは、若者が集まれるユースセンターをつくることです。家でも学校でもない、第三の居場所で、若者たちが趣味や好きなことに向きあえる場所、それらをサポートできる場所を伊勢崎市のまちなかにつくりたいと考えています。
伊勢崎駅を中心にして3㎞の範囲に、5~6校の高校がありますが、高校生たちが立ち寄れる場所が少ないのが現状です。高校生たちは10年、20年先の地域の希望です。ユースセンターでの成功体験や何らかの思い出があれば、たとえ、伊勢崎市を一度は離れたとしても、伊勢崎市に戻ってきて何かをしてみようという若者が現れる可能性もあると思うのです。協力隊として3年間の猶予をいただいていますから、チャレンジしていきたいと思っています。
今、実際にユースセンターの話を進めています。まずは、期間限定になりますが、まちなかに貸しスペースを借りて若者たちが集まれる場所をつくりたいと思っています。

 

Q:これから隊員を目指そうと思っている人へメッセージをお願いします。

A:新たな地域に飛び込み、活動する時の心構えとして、地域の方に寄り添うことを忘れてはいけないと思います。また、知るということは、町とそこに住む方たちをリスペクトすることであり、町の歴史や概要は知っておくべきことです。そのうえで、町へ飛び出し、人と会うことが重要です。ただ、新しいことを始めるというのは、どうしても孤独な闘いになりますから、1日の終わりに自分を褒めてあげたりして、孤独によるストレスを溜め込まないようにしてほしいと思います。
協力隊としていられる時間は、泣いても笑っても3年間しかないですから、私はよそ者であり続けたいと思っています。せめて3年間は、よそ者の視点で何かをするというのが、協力隊の価値であり、使命だと感じています。

(取材日:2023/12/11)