子どもも大人も赤ちゃんも。みんなの居場所となるカフェをつくりたい。
Q:地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。
A:地域おこし協力隊に応募したのは、ここが初めてではないんです。前職は夫婦で沖縄県北中城村の地域おこし協力隊をしていました。沖縄に行く前は、東京・稲城市に住んでいました。稲城市は、行政を介さずに大きなイベントを行ったり、古民家カフェに地域の人が自然と集まったりと、地域のコミュニティ活動が活発な場所でした。私たちはたまたま稲城市に引っ越したのですが、いつしか第二の故郷と思えるぐらい、地域の中に溶け込むことができました。稲城市での暮らしから、地域とつながりながら仕事をするのは楽しいだろうなと思うようになったんです。そこで知ったのが、地域おこし協力隊という制度です。先に夫が応募し、続いて私も。当時、コロナ禍で観光関連のイベントが中止になるなど、協力隊の活動内容も模索が必要でした。そこで同期と地域のお店を紹介するつたないYoutuberとして活動しました。
任期中、私は妊娠・出産をして、途中で育休に入りました。初めての出産・育児に悪戦苦闘している中、ジジババの力を借りないと子育ては無理だと思うように。そこで、私の実家がある群馬県へ戻ろうという話になりました。地域とつながりながら仕事をしたいという思いは変わらずにありましたし、2年以上の活動経験がある人は、地域おこし協力隊に再度応募できるという制度もあったので、群馬県内の募集から藤岡市を見つけ応募しました。
Q:活動内容について教えてください
A:藤岡市鬼石振興課のSNSを担当しています。出勤日は基本毎日、X(旧Twitter)やInstagram、Facebookで鬼石地域の情報を発信しています。また、Youtubeチャンネルにも動画をアップしています。ゲストハウスに留学生が宿泊していると聞けば会いに行き、イベントが開かれると聞きつければ取材に出かけています。ネタ探しに奮闘する毎日です。
Q:鬼石地域の魅力はどんなところだと感じていますか?
A:着任する前、何度か鬼石地域の下見に訪れました。どこを見ても背景に山があり、清らかな三波川が流れ、やさしい風がそよぎ、空気がおいしい。直感的に「ここはいい!」と思いました。加えて、鬼石夏祭りで完全にノックアウトです。山車を引っ張る人、山車の上でお囃子を演奏する人、みな顔つきが凛々しく輝いていて、伝統を受け継ぐことに誇りを持っている姿に感動しました。娘には伝統と誇りのある地域をふるさとにしてあげたいという思いもあって、「鬼石地域はやっぱりいい!」と思いましたね。協力隊に着任して初めての鬼石夏祭りが2023年7月に行われ、その様子をしっかり動画に収めました。Youtubeにアップしていますので、ぜひ見てほしいですね。
Q:残りの期間や任期終了後は、どのように活動していく予定ですか?
A:藤岡市に来てからずっと鬼石地域で家を探していたのですが、良いところが見つかり購入しました。この家の2階を居住スペースにし、1階を子育て世代がほっとできるようなカフェにしたいと思っています。
出産・育児は大変なことです。まして、近くに両親や知人がいないとなると、心細いはずなんです。沖縄で初めての出産・育児をしていた時、先輩ママさんたちと経験をシェアし、ちょっとした悩みを共有したことで、救われ励まされました。赤ちゃんも子どももママさんもパパさんも地域の人も、ほっと一息つけて安心して過ごせる場所をつくりたい。沖縄にいた時にお世話になったカフェと、東京・稲城市で地域の人とのつながりを深めてくれた古民家カフェのいいとこどりをしようと思っています。
今、カフェで提供するパンづくりを勉強しています。試作品を鬼石支所の職員に配って食べてもらっていますが、好評です。八塩鉱泉水を入れた自家酵母のパンで、鬼石のミカンやリンゴ、ブルーベリーなど地域のもので作りたいと思っています。
Q:これから隊員を目指そうと思っている人へメッセージをお願いします。
A:隊員と自治体の問題がメディアで話題になることがありますね。決して、そういう面がすべてではないですが、誤解が生じる場合があるのも事実です。自治体とのミスマッチを起こさないためにも下見に行き、担当の自治体職員や協力隊OB・OGと話をしてみるといいと思います。今は、インターン制度もありますから、何度か通って友達を増やしてから着任するという方法もいいと思います。
(取材日:2023/9/19)