隊員&OB・OGインタビュー

ドローンを使って、関係人口を増やし、観光と結びつけていきたい。

みどり市 獅子内珠羅さん 活動4年目(2020年4月~)

Q:みどり市の地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。

A:出身は青森県です。大学進学で群馬県に来ました。大学4年の時、教育実習のために地元・青森へ戻ったのですが、横断歩道を渡り終えた子どもたちが停車した車に向かってペコリとお辞儀をする姿を目にしました。かつて私も同じことをしていたけれど、今となっては、なかなか目にすることはないですよね。こんなふうに、今まであったものが少しずつ消えていき、良いものが残っていた街もなくなってしまうかもしれない…とさみしく感じました。この出来事が町おこしに携わりたいと思ったきっかけです。
教育実習を終え、群馬県内の大学に戻ってから、町おこしに携われる仕事を探しました。そこで見つけたのが、地域おこし協力隊という制度。みどり市の「おためし地域おこし協力隊」の募集を見て参加しました。2泊3日で地域おこし協力隊として活動する前に地域のことを知ることができるというもので、3日間のおためし体験で、みどり市のポテンシャルを感じ、大学卒業後に着任しました。

 

Q:みどり市のどこにポテンシャルを感じたのですか?

A:みどり市東町は、栃木県日光市足尾町に隣接しています。日光への通り道にあるので、日光へ向かう観光客や日光からの観光客の1割でもみどり市に呼び寄せることができれば、地域の活性化につながると思いました。加えて、草木ダムの建設をきっかけにいろいろな施設が建設されていて、それらを有効活用できるのではないかと思いました。それに、市の職員と地域の人との関係性がすごく良かったので、「ここなら、良さそう」とカンがはたらきました。高校も大学も「ここなら、良さそう」というカンで選んで、すべて当たっています。

 

Q:活動内容について教えてください

A:着任したのは、コロナ禍の2020年4月。観光関連のイベントや祭りごとはことごとく中止となり、1年目、2年目は大々的にお客様を呼び込むための観光振興の活動はできませんでした。そうした中で、まずは自分がみどり市のことを知ろうと思い、市内を歩いてまわり、写真をブログに投稿したり、空からみどり市の風景を収めようと、ドローンの操縦を学び、写真や動画を撮影していました。また、当時、みどり市では草木湖の湖面利用の一環でカヌーツアーの実施に取り組んでいた時期で、私もその準備を手伝いました。新型コロナウイルス感染症の影響で、任期は1年延長となり、今、活動4年目を迎えています。
現在、草木湖でのカヌーやSUP(サップ)のツアーガイドをやっているほか、SNSの投稿や、町内の回覧板に協力隊の活動内容を紹介する「協力隊だより」を発行しています。

 

Q:みどり市での暮らしはどうですか?

A:みどり市に来てから、新緑の美しさを知りました。特に5月のGW頃、木々の葉に光が当たって、すごくキレイなんです。地域の人によくしてもらっているので、マイナス面は感じていません。田舎特有のウワサがすぐ広まるというのはありますが、回覧板で私たち協力隊の宣伝をしていることもあり、地域の方々が私たちのことを知ってくれているので、皆さん気にかけて協力をしてくださりありがたい限りです。また、どんどん人脈が増えていくのでやることに幅が広がり、毎日がより楽しくなっていきます。

 

Q:ほかの協力隊員との関係について教えてください。

A:現役の隊員は9人います。林業や観光、農業など担当分野は異なりますが、それぞれの活動を手伝ったり、イベントを協力して行ったり、プライベートでも仲良くやっています。OB・OGの9割は、みどり市に定住しています。今日は、協力隊OBがツアー会社を立ち上げることになり、そのイメージ動画を撮影してきました。隊員みんなで協力して、みどり市を盛り上げていこうとする雰囲気があります。

 

Q:任期終了後は、どのように活動していく予定ですか?

A:前橋市内にあるドローンの講習や測量などを行う会社に就職し、その傍ら起業しようと思っています。3年ほど前、みどり市や桐生市で山火事が続いたことがありました。その焼け跡を調査のためにドローンで撮影することになり、その様子を見学させてもらったのが会社との出会いです。協力隊になってから、空からの写真や動画を撮影してみようと始めたドローンでしたが、練習を重ね、国家資格を取得しました。今、JULC(日本無人航空機免許センター)群馬教習所の教官もしています。
任期終了後も、みどり市に定住します。前橋で行っているドローンの講習を、みどり市で開催できるよう、働きかけているところです。都内から土日を使ってドローンの講習を受けにくる人が多いので、ここでドローンの講習を開くことができれば、みどり市に宿泊することになり、関係人口を増やすこともできます。春の花桃、桜、新緑、紅葉と四季折々の映える写真も撮ることができるので、ドローン撮影と観光を結び付けたイベントもできれば面白いと考えています。
また、現時点での起業の内容は、ドローンでのPRや記録目的の撮影をすることと、スキーのストックのようなポールを2本持って歩くノルディック・ウォークの指導です。こちらは、健康促進目的のウォーキングスタイルで、協力隊の活動期間内で講師も務めていたので、今後にも活かしていきたいと考えています。

 

Q:これから隊員を目指そうと思っている人へのメッセージ

A:群馬県はポテンシャルを持っているところだと思います。でも、群馬県の良さを知らない人はまだまだ多いです。自然も食も豊かで、高崎などの市街地は交通の便が良いし、山間部にいけば、多少の不便さはあるものの、それを踏まえてもいいと感じられる場所はたくさんあります。可能性はまだまだあるので、やる気次第です。いろいろ体験して感じた群馬の魅力を全国に発信していくのも楽しいと思います。

(取材日:2023/8/29)