隊員&OB・OGインタビュー

大好きな鉄道に関わる活動で夢への第一歩を踏み出しました。

安中市 能代紘平さん 活動2年目(2021年9月~)

Q:安中市の地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。

A:高崎市出身ですが、千葉の大学を卒業後、静岡で自動車を製造する会社に就職。7年間、自動車内装部品設計業務に携わっていました。3次元データを作成する3DCADで設計を行っていて、それを元に3Dプリンターで出力すればどんなものでも作れてしまいます。そこで、プライベートでも3Dプリンターを購入し、趣味の鉄道模型を作ったりしていました。とにかく鉄道が大好きで、いずれは起業して鉄道模型を販売したいという夢も持っていました。 そんなとき、たまたま碓氷峠鉄道文化むらのツイッターで、安中市地域おこし協力隊の募集を見つけたのが応募のきっかけです。この鉄道文化むらには、小学生の頃から何十回も訪れていて、ずっと憧れていた場所でしたので、夢に近づく第一歩だと思いました。 地域おこし協力隊の募集を見つけた時は、「やるなら今しかない!」と思い、応募しました。運命だったのかもしれませんね(笑)。


Q:実際の活動内容について教えてください。

A:着任して1年2か月。活動は、碓氷峠鉄道文化むらでイベントの準備や企画、日常的には入園ゲートや乗り物の係員、園内にある売店の販売員、峠の湯まで走るトロッコ列車の車掌業務、園内のガイドツアーなどをしています。他にも、撮影や編集は独学で勉強し、碓氷峠交流記念財団が運営している温泉施設「峠の湯」や宿泊施設「くつろぎの郷」のPR動画も制作しました。碓氷峠近辺を観光地として再認識していただけるように、SNSでの情報発信にも努めています。 また、ここで働いているJRのOBの方に教わりながら、体験運転のEF63型電気機関車の整備も取り組んでいます。 ここでは接客が学べることもいい経験ですね。こどもたちには専門用語を使わずわかりやすく説明したり鉄道に詳しいお客様からは逆に知らなかったことを教わったり。今まで趣味として蓄積してきた知識が仕事で生かせるので、楽しくて毎日が充実しています。

プライベートでは、会社員時代と同様に3Dプリンターで鉄道模型を作っています。今は、Gゲージと呼ばれる1/24スケールで189系「特急あさま」とEF63型電気機関車の製作に取り組んでいるところです。車両の設計図はなかなか手に入らないので、いろいろな角度から撮った写真を元に設計しています。


Q:他の自治体の隊員と関わることもありますか?

A:千葉県いすみ市には、第三セクターのいすみ鉄道で活動している隊員が4名いるのですが、そのうち一人の隊員からメールをいただき、会いに行ってきました。情報交換する中で、コラボイベントができたらという話も出ました。 県内では、JR吾妻線廃線跡を利用したレールバイク「アガッタン」で活動している東吾妻町の隊員と情報交換したこともあります。 鉄道に関する協力隊員は全国各地に増えてきているので、今後はいろいろなところとつながって、鉄道の利用促進や沿線市町村の活性化に貢献できればと思います。


Q:安中市で暮らしてみての感想を教えてください。

A:妻と6歳の娘と家族3人で移住しました。住まいは、四季折々の自然が楽しめる山の中の一軒家です。私も妻もアウトドア、特にキャンプが共通の趣味なので、自然に囲まれた生活はとても魅力的。庭でバーベキューや花火など、市街地ではできないこともできるし、ゆったりスローライフを楽しんでいます。毎日の通勤も渋滞がなく快適です。市街地にある幼稚園まで子どもを送り迎えするのが少し不便ですが、車があれば特に困り事はありません。1年過ごして生活のリズムもつかめてきました。


Q:今後は、どのように活動していく予定ですか?

A:コロナ禍での制限もなくなり来園者も増えてきたので、2年目の今は展示車両を使ったいろいろな体験イベントを企画したいと構想を練っているところです。 任期終了後は、横川エリアに店舗を構えて鉄道模型を販売したいと思っているので来年以降は起業に向けた動きを本格化させる予定です。3Dプリンターを使えば金型では作れない部分も精密に再現できるので、マニア受けする鉄道模型を作りたいですね。鉄道文化むら限定モデルを作って、ここで販売できれば相乗効果が見込めるのではないでしょうか。 ただ、模型販売が軌道に乗らないと生活基盤が脆弱になるので、ガイドツアーや展示車両の整備・修繕なども請け負えるように、アーク溶接、足場の組立解体、車両塗装などの資格取得にも挑戦中です。さまざまな資格を取得して可能性を広げ、選択肢を増やしたいと思っています。


Q:これから隊員を目指そうと思っている人へのメッセージをお願いします。

A:活動を進めていくと、想定外のハードルや壁に当たることもあります。そこであきらめるのではなく、周りの人に協力を求めて乗り越えてほしい。そのために、コミュニケーション能力は必須です。 また活動中にPOPやチラシ、動画などさまざまなことを依頼されるかもしれません。私自身、動画を今まで製作したことがありませんでしたが独学で勉強しました。未経験の分野であっても何事にも挑戦する姿勢があると良いです。 それから、私のように家族で移住する人は生活環境ががらりと変わります。子育て環境や医療機関、学校、日常の買い物に不便はないかなど、あらかじめよく確認しておくことも必要ですね。

(取材日:2022/11/8)