スポーツを通して、町をもっと元気にしていきたい。
Q:みなかみ町の地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。
A:みどり市出身です。以前からスポーツが好きで、みなかみ町には夏も冬もよく遊びに来ていて、いつかこの町で暮らしたいという夢も持っていました。
地域おこし協力隊員になる前は、プロバスケットボールチーム「群馬クレインサンダーズ」の広報担当として働いていました。そのチームが3人制プロバスケットボールチーム「MINAKAMI TOWN.EXE」とも交流があり、協力隊を募集しているので来てみないかと、声をかけていただいたのがきっかけです。
協力隊自体にも興味がありましたし、大好きなみなかみ町に住んで、今までのスキルも生かしながら仕事ができるならと思い、応募しました。
誘われたのがきっかけですが、今では私自身、町に根付いたチームを作るお手伝いがしたかったんだと、強く思っています。
Q:実際の活動内容について教えてください。
A:スポーツを通して町を元気にすることを目標に活動しています。
メインは、「MINAKAMI TOWN.EXE」の広報と運営です。試合や練習風景を撮影して、SNSで発信するほか、試合会場でのメディア対応も行っています。チームでは、他にも主に子どもたちを対象としたバスケスクールやチアスクール、フィジカルトレーニング、スポ―ツキャンプなどを行っていて、スポーツを通して町の子どもの育成にも関わっています。
着任して1年目は、まず町内へのあいさつ回りからスタートしました。町の人に支えられて運営している地域密着型のチームだからこそ、さらに町の人に愛されるよう、足しげく回りました。スポンサー獲得の営業に行く選手と同行することもあります。驚いたのは、皆さんすごく選手を応援していて、本当に温かく迎えてくださったこと。初めて会う私にも優しく接してくださいました。その時から、この町をもっと元気にしたいという気持ちが、いっそう強まりました。
実は、2年目にチーム代表の大塚選手と結婚し、出産。1年間産休をいただいて、活動期間を1年延長させていただきました。産休中もチームの広報活動などは続けていましたが、周りが男性ばかりなので心細くなるときもあったんです。そんなとき、気にかけてくださる方がいて、人とのつながりのありがたさを実感しました。
今は、息子をこども園に預けて隊員に復帰し、活動を再開しています。
Q:みなかみ町での暮らしはいかがですか?
A:同じ県内とはいえ比較的平野部に暮らしていたので、みなかみ町の自然の豊かさは格別です。特に大きな違いは冬の雪の量ですね。雪かきは確かに大変ですが、私はウィンタースポーツも大好きなので、苦にはなりません。夏にはカヌーやラフティングなどさまざまなウォータースポーツも楽しめます。キャンプ場もたくさんあるので、アウトドアが好きな人には最高の場所だとお薦めします。加えて温泉も各地にあって、いつでも入れるというのもうれしいですね。
子育て環境もいいですよ。大自然の中で、いろんなスポーツを体験させたいと今から楽しみにしています。買い物など普段の生活も不便は感じないし、高速道路のインターチェンジが近くて、遠出する場合にも交通アクセスは抜群です。
Q:他の隊員と関わることもありますか?
A:チーム内にはトレーナーを務めている隊員もいて、高齢者向けのストレッチ教室などの活動もしています。みなかみ町には、他にもさまざまな活動をしている隊員がいて、町が交流する場を設けてくださることもあります。そういった機会に、お互いの活動を紹介し合うなどコミュニケーションを取っています。
それから、遠征で県外にも出かけるのですが、新潟県三条市には、なんと全員地域おこし協力隊員で構成されたチームがあるんですよ。そのチームの人たちとも仲良くさせていただいており、顔を合わせた時には情報交換をしています。
Q:残りの期間や任期終了後は、どのように活動していく予定ですか。
A:「MINAKAMI TOWN.EXE」をもっと多くの人に知ってもらえるよう、どんどんPRしていきたいと思っています。SNSで発信しても高齢者の目にはあまり留まらないので、直接お会いする機会も多く持ちたいです。最近はチームも強くなって、新聞やテレビなどにも取り上げられるようになり、ファンも増えてきました。試合は遠征が多いのですが、先日は、ビエント高崎で今シーズン初めてのホームゲームを開催したところ、町からバスでたくさんの人が応援に来てくださり、すごくうれしかったですね。
任期終了後も、このチームを中心に活動の幅を広げていきたいと考えています。
チームは今、子どもたちにいろんなスポーツの選択肢を与えるために、総合型スポーツクラブの立ち上げを目指しています。町の子どもの数は少ないですが、少人数でもできるスポーツはたくさんあるので、力を入れていきたいと考えているんです。
そして、スポーツが盛んな町として知られるようになって、みなかみ町へ移住したいという人が増えたらと思います。
Q:これから隊員を目指そうと思っている人へのメッセージ
A:他の隊員から、任期終了後が心配だという話を聞くことがよくありますが、私は終わった後のことも考えて応募すべきだと思うんです。先のビジョンがある方が精力的に活動できるのではないでしょうか。
私の場合は、この町に定住したいと思って来たので、自分がどれだけこの町で必要とされる人になれるかということを考えて活動しています。なんとか町に還元できるような、存在感のある人間になることが目標です。
(取材日:2022/9/13)