隊員&OB・OGインタビュー

黒保根で実感した、心が健やかになる暮らし方。

桐生市 北條早さん 活動3年目(2017年8月~)

Q:地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。

北條早さん

A:大学卒業後、ガラス瓶メーカーでデザインの仕事をしていました。ガラス瓶に入っている商品って地方の産品が多いので、そういったところから地方の商品とかデザインとかにもともと興味を持っていました。

結婚を機に群馬県に移住しまして、地域や地方のデザインをやりたいと思って仕事を探していたところ、地域おこし協力隊を知りました。桐生市の募集では、地域のPRや商品開発というミッションがあり、自分の興味のあることに挑戦できると感じ応募しました。

Q:実際の活動内容について教えてください。

北條早さん

A:「パッケージデザインをやりたい」という心意気で活動を始めたので、1年目は道の駅のアイスクリームのパッケージリニューアルを担当させてもらいました。同時に、地域のことを何も知らなかったので、黒保根支所の方に町中を案内してもらい、生産者さんとお話をしたり、地域の方と交流したり、季節の行事に参加したりしました。日々新しい発見があるのが面白くて、そういう感動は大切にした方がいいのかなと思い、なるべく毎日楽しむように暮らしていました。

Q:どんな発見がありましたか?

A:家のベランダからキジの鳴き声が聞こえることに驚いたり、水道水が美味しいことに気づいたり。旬の野菜を近所の方からいただくこともあるんですけれど、いただく単位が白菜3玉とか4玉とか。2人で食べるには多いですよね。もともと料理はそんなにたくさんする方ではなかったので、試行錯誤です。他にもタケノコをアク抜きしたり、採れたてのものを自分で調理したり、これまでの人生ではなかった経験ができています。

ここで当たり前の生活っていうのがもう衝撃なんですよね。この面白さを誰かに伝えたらまたちょっと面白くなるのかなって、可能性も感じた最初の1年でした。

Q:アイスのパッケージリニューアルは、行ってみていかがでしたか?

デザイン

A:約半年間、道の駅の役員の方と、何度かデザインの打ち合わせをして形にまとめました。商品自体はもともと個性のある5種類だったんですけれど、旧パッケージは味の違いが分かりにくかったんです。それを、それぞれの中身が連想できるような色味に変えて、食材名を大きく見えるようにしました。背景は、旧黒保根村の村章をパターンにした感じでデザインし、気に入っていただけて決定となりました。

2018年4月にリニューアル販売したのですが、いくつかのメディアに取り上げていただいたこともあって、1.5倍ぐらいに販売数が増えたと聞いています。少しは目につきやすくなっていればうれしいです。

Q:2年目はどんな活動をしましたか?

北條早さん

A:地域の特色やおもしろいものを探していくうちに、一つの商品というよりは、地域全体を見せたいと思い始めました。そこで、今年の3月末に「みんなのくろほね展」というイベントを企画実施しました。「みんなの」と名づけたのには意味があって、桐生市内でもとくに市街地に住む方が、あまり黒保根のことを知らないという印象があったので、そういう方たちにも黒保根の魅力を伝えたい、同じ市内の資源として見てほしいっていう思いがありました。

3日間かけて、桐生市内の古民家カフェを会場に、地域の食材を使った食事の提供と物販と展示を行いました。私は発起人という形で、黒保根町内で、「地域を活性化したい」「もっと盛り上げたい」という方とチームを作り、黒保根支所の方々にも協力をいただいて作り上げました。

Q:反応はいかがでしたか?

北條早さん

A:思った以上に反応はよかったのかなと思います。初めての開催で、どれだけ地域外の人がこの地域に興味を持ってくれるか未知数でしたが、当日は盛況で、「次はどうするの」「また来たいな」という反応もいただきました。

そこで第2弾として、7月に「みんなのくろほねvol.2 くろほね朝市」を実施しました。今度は黒保根のブランド卵を使った卵かけご飯の提供と、軽トラ朝市の2本立て。用意した卵80個は完売しました。

黒保根を大いにPRしたいというか、ブランディングができればいいなと思っていたので、販売する商品に貼るシールやスタッフ用の前掛け、Tシャツ、エコバッグなど黒保根グッズもデザインして制作しました。

Q:他の協力隊員との関係はどうですか?

北條早さん

A:この3月までもう1人隊員がいたんですけれど、仕事内容が違ったのであまり一緒になる機会はなかったですね。その代わりというか、みどり市・桐生市・日光市の隊員とは定期的に交流会を開催していただいているので、お互いの仕事内容の交流はできていると思います。

水沼温泉センターの案内板をリニューアルしたときには、私がデザインし、みどり市で木工を担当している隊員の方にレーザーカットで立派なものを作ってもらいました。センターにお越しの際はぜひ玄関の案内板にも注目してみてください。

Q:今後の目標を教えてください。

北條早さん

今後は、できれば自分で商品開発をしてみたいと考えています。任期終了後は、地域を題材にしたデザインという仕事は何かしらで続けていきたくて、それが起業という形になるのか、どこかに所属して、になるのかは決まっていないんですけど、地域おこし協力隊には研修制度もいろいろあるので、任期終了後に向けて何ができるか考えていきたいと思っています。

ここ黒保根は、本当にないものは多いんですけれど、それに代わる豊かさがあります。水や食べ物がおいしいとか、季節をダイレクトに感じられるとか、そういったことで心の健康はすごく養われると思っています。あるものを楽しんで暮らすのが素敵だと思います。都会やまちで体験できないものを楽しみたい、知りたいという方にはぜひお勧めです。