隊員&OB・OGインタビュー

伊香保はもちろん、渋川市全体の観光振興に役立つために。

渋川市 福田崇人さん 活動1年目(2018年6月~)

Q:渋川市の地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。

A:大学在学中から地域に関わる仕事がしたいと思っていて、地域おこし協力隊にもすごく興味があったんです。

卒業後は大阪に本社のある会社に就職し、長野県の松本営業所に配属されました。そこで3年間働きましたが、その間も地域おこし協力隊の募集を探していました。温泉が好きで、温泉に関わる地域おこしがあればと思って。

伊香保温泉にはすごく惹かれていましたが、募集が無かったので新潟県や佐賀県など何カ所か応募して、面接を受けたところもあります。でも、僕のやりたいこととは少し違っていたんです。そうしているうちに、渋川市で温泉地の活性化という協力隊の募集が出て、「これだ!」と。渋川市初の協力隊員として採用されて、今はちょうど半年経ったところです。

Q:実際の活動内容について教えてください。


A: 渋川伊香保温泉観光協会のスタッフとして、観光協会に関する一般業務を行っています。窓口に来られたお客様へ旅館の紹介や観光の案内、SNSでの情報発信、各種イベントの補助などですね。各旅館へ電話したり、チラシ配りに行ったりすることもありますが、地域おこし協力隊を知らない人も多いので、自分を売るところから始めています。

僕が最初に取り組んだのはSNS発信。今までここの観光協会にはSNSがなかったので提案して始めました。徐々にフォロワーも増えてきていて、その情報発信力の大きさを実感しているところです。

観光協会のスタッフは、伊香保の人が3名、渋川の人が2名。みなさん地元の人なので、僕には外部からの視点をいかした活動を期待されていると思います。ここに慣れてしまうと見えなくなる部分があるので、初めの印象を忘れないようメモするようにしています。

活動を始めて半年ですが、観光の仕事は思っていたより大変ですね。温泉はすごくいいのに、まだまだいかしきれていない素材がたくさんあって、もったいないなと思います。

また、観光地域づくりの舵取り役である日本版DMOの仕事も渋川市の協力隊としての役割であり、地域の人と協働して観光資源を掘り起こしていきたい。今は伊香保をメインに活動していますが、渋川市全域に活動範囲を広げるとともに、隣接する吉岡町や榛東村とも連携して、渋川市全体の観光を盛り上げていく仕組みづくりを目指したい。そのためには、それぞれの地域を知り、地域の人に自分を知ってもらって、信頼されてからじゃないと始まりません。まずは地元を知ることから。今は勉強段階です。

Q:渋川市に暮らしてみた感想を教えてください。

A:渋川市内で家賃補助の範囲内で借りられるアパートを探して住んでいます。多少オーバーしましたが、それは自己負担ですね。

ここに来る前は、群馬というと温泉の印象しかなかったんです。来てみて、自然が豊かで景色も美しいところだなと思いましたね。びっくりしたのは、夏の暑さと風の強さ(笑)。長野に3年住んでいたので冬は問題ないと思います。

長野時代に始めたスノーボードは、こちらでもやりたいと思っています。伊香保にはリンクもあるので、スケートにもチャレンジしたいですね。ずっと野球を続けてきたので、こちらでも続けたいと思っています。

Q.他の協力隊員との関係はどうですか?

A.僕は渋川市初の協力隊員なので、市内は僕だけですが、他の地域の隊員と研修などの機会につながりを作っていきたいですね。渋川だけじゃなく、群馬全体を盛り上げていくためにも、横のつながりは絶対必要だと思います。

また、渋川市では、現在もう1名隊員を募集しています。仲間が増えるとやれることも広がると思うので期待しています。

他にも県の観光物産国際協会の観光リーダー塾にも参加させていただき、そこでもいろんな地域の人と知り合いました。全国から観光に携わる講師を招いて、さまざまな情報や事例を教えてもらえるのでとても勉強になります。他の地域の隊員も何人か参加しているので、情報交換の場にもなっています。

Q:任期終了後について教えてください。

A:3年後に何をするかはまだ決めかねていますが、いずれにしても渋川市に残るつもりです。
当初は、任期終了後に起業しよう、伊香保に自分の店を持ちたいと思っていました。いきなり伊香保に来て店を開業するという選択肢もありましたがあまりにも無謀なので、協力隊を3年間務めて信用を得た後に、起業支援金などで店を構えられればと。

でも、今は観光協会の仕事にやりがいを見つけて、楽しくなってきました。伊香保温泉はまだまだ荒削りのところが多いので、そこにやりがいを感じています。

僕の実家のある奈良は、日本を代表する観光地です。以前は意識していませんでしたが、夏に帰省したとき、観光PRの方法など参考になる点が多いと思いました。例えば「夜を歩こう」といったイベント。店舗だけじゃなく一般家庭も1軒1軒提灯をともして、昼間とは全く違う景観で夜も歩きたくなる仕掛けを作っていました。観光客だけじゃなく、地元の人も楽しめるという点もいいなと思って。

農業とか他の産業と連携した観光振興も考えられます。スタディツアーであったり、外国人を呼んだり……。やりたいことはいろいろあります。

とにかく3年間でできるかぎり学び、人脈を広げて、同じ方向を目指して一緒に活動する仲間をつくりたい。そして、任期終了後のビジョンへとつないでいければと思っています。