隊員&OB・OGインタビュー

碓氷峠の魅力や、ここで生きてきた人たちのドラマを発信していくのが夢。

安中市 後藤圭介さん 活動2年目(2017年11月~)

Q:安中市の地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。

A:大学卒業後は伊香保温泉のホテルマンとして働いていました。出身は高崎ですが、国道18号を通って軽井沢に行くときに、めがね橋やレンガ造りの建物がいっぱいあって、いいところだなって以前から思っていたんです。

そんなときに、たまたま安中市の魅力を掘り起こすという協力隊の募集を知り、碓氷峠に携わっていろいろやってみたいという思いが強くなりました。周りの人も今しかできないことだから、やった方がいいと背中を押してくれたので、思い切って挑戦してみようと、応募しました。

学生時代から旅行や写真、歴史が好きだったので、碓氷峠の歴史をもっと知りたいなという思いもありました。

Q:実際の活動内容について教えてください。


A: 1カ月に12日間は、鉄道文化むらでスタッフと一緒に働いています。イベントの手伝いをしたり、トロッコ列車の車掌として乗務したり、ガイドを務めたりしています。

鉄道文化むらには、横川-軽井沢間の列車を運転していた元機関士も勤めていて、生の声を直接聴くことができます。話を聴いて、横川地域は人口の約半分が元国鉄関連というほど鉄道の町だったことがわかりました。その当時のことを知っていて、愛着を持って語れる人がいる。そして、当時のものが今も残っているのはすごく魅力的。歴史の中に、いろんなドラマがあるので、そういうものを何か形に残して発信したいと、その方法を模索中です。

トロッコ列車は運行期間中には、峠の湯まで往復50分を1日5本。車内でのガイドの仕事は、元国鉄マンから聞いた知識が活かせる場です。お客さまの質問に答えられるように日々、知識を身につける努力をしています。お客さまへの対応などは、ホテルマンとして働いた経験も活かされています。

私のガイドで、お客さまに期待以上の満足感を得て帰っていただけるとしたらうれしいです。
家でも、碓氷峠の鉄道遺産に関する文献などを読み込んで知識を深めています。すごく興味深いですね。

今後の活動としては、碓氷峠の歴史を発信するために、「目の前の風景は当時こうでしたよ」と、昔の写真などを活用することも考えています。

それから、「安中市移住体験プログラム」にも携わっていて、募集チラシのデザインも手がけました。このプログラムは、何をすべきか、何ができるかわからなくて悩んでいたときに、安中市の職員の方と相談して企画を思い立ちました。プログラムにはホテルで働いていた自分のスキルを活かせるなと思いました。

くつろぎの郷コテージを使い、市外にお住まいで安中市に移住・定住を検討している人限定で移住体験をしてもらいます。1泊2日から6泊7日まで利用可能です。私も周辺のガイドを務めたり、地元の人と関わる機会をプランに組み込んだりしています。

現在は2回目の募集中。第1回は体験実施期間が1週間と短くて、参加希望の方がスケジュールを組みにくかったりとうまくいかなかったので、今回は簡単な方法で予約ができて、期間も長めにするといった工夫もしています。

Q:安中市に暮らしてみた感想を教えてください。

A:活動している地区に一軒家を借りて住んでいます。住み心地は快適です。
実家の高崎と比べて、職場でもご近所でも周りとの距離の近さ、温かさを感じています。健康面も気をつかってもらって、土日などにお弁当を作ってくださったり、帰宅したら野菜が置いてあったり。親せきみたいな人がいっぱいいて、ありがたいですね。

近くで買えないものは軽井沢のスーパーまで行くことも。車で片道30分くらいですね。

Q.他の協力隊員との関係はどうですか?

A.安中市の協力隊員は、もう一人が秋間梅林で活動しています。一緒に活動することはありませんが、情報交換はしています。隊員同士、悩んでいることや迷っていることを相談して、お互いに励まし合うこともあります。

年に数回、県庁などでの研修会のときには、他市町村の協力隊員と会って話をする機会もあります。移住体験を行っている市町村は多いので、参考になる部分を取り入れたいと情報収集に努めています。

その他、全国の協力隊員が集まるセミナーにも参加させていただき、県外の隊員とも知り合いました。そういう機会には碓氷峠をPRしていて、実際に来て興味を持ってくれた隊員もいるんですよ。

Q:任期終了後について教えてください。

A:もともと絶対に「起業したい!」とか、「就農したい!」というような目標があったわけではないので、今はまだ自分でもハッキリと任期終了後のイメージができていません。
でも、今、猛勉強している碓氷峠の歴史についての知識や、ここでできたつながりを活かしたいと思っています。すぐには難しいかもしれませんが。
任期中にできる限りの知識は身につけるつもりです。まだ23歳なので、少し先の将来になってもいいので、その知識を活かせるといいなと思っています。

碓氷峠の歴史的な魅力や、ここで暮らしてきた人たち、裏で支えてきた人たちのドラマを、いつか何らかの形で伝えることに携わりたいというのが私の夢です。